令和6年の衆院選での国民民主党の躍進により、税制改正で所得税の減税が実現しました。これらを反映した実務の留意点についてお知らせします。
Ⅰ.基礎控除額の見直し
合計所得金額
(給与収入だけ場合の収入金額) |
基礎控除額 | ||
改正後 | 改正前 | ||
令和7・8年 | 令和9年 | ||
132万円以下(給与:200万円以下) | 95万円※ | 48万円 | |
132万円~336万円(給与:200万円~475万円) | 88万円 | 58万円 | |
336万円~489万円(給与:475万円~665万円) | 68万円 | ||
489万円~665万円(給与:665万円~850万円) | 63万円 |
※年収200万円以下の対象者の95万円の控除額は恒久措置、他はR7~8年の時限立法です。これにより
年収の壁が160万円まで引き上げられました。
Ⅱ.給与所得控除額の見直し
給与の収入金額 | 給与所得控除額 | |
改正後 | 改正前 | |
162万5,000円以下 |
65万円 |
55万円 |
162万5千円超180万円以下 | 収入金額×40%ー10万円 | |
180万円超190万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
※給与収入190万円以下の給与所得控除額が引上げられ、税負担が軽減します。
Ⅲ.特定親族特別控除の創設(生計を一にする19歳~23歳までの親族)
給与収入だけの収入金額 | 特別控除額 | 165万円超170万円以下 | 31万円 |
123万円超150万円以下 | 63万円 | 170万円超175万円以下 | 21万円 |
150万円超155万円以下 | 61万円 | 175万円超180万円以下 | 11万円 |
155万円超160万円以下 | 51万円 | 180万円超185万円以下 | 6万円 |
160万円超165万円以下 | 41万円 | 185万円超188万円以下 | 3万円 |
※103万円の壁がはずれて、アルバイト収入が188万円までは親からの控除ができます。
(文責 税理士 大和田利明)
最低賃金などいろいろ言われている企業において、注目される指標として「労働分配率」があ
ります。
労働分配率とは
企業の限界利益のうち、人件費としてどれだけ分配したのかを表す指標です。
労働分配率 = (人件費) ÷ (粗利益【付加価値】) × 100
人件費とは 給与、賞与、法定福利費、福利厚生費、通勤費な
限界利益とは 売上高から仕入や外注費などの変動費を引いたもの
適正な労働分配率とは
業種などにより、50~80%と言われています。しかし、適正とは断言できません。
例えば、
書籍等では、製造業の労働分配率は65%~70%と記載されています。
製造業で、売上高が100,000千円、人件費が20,000千円の場合を考えます。
下記のとおりA社とB社では限界利益率によって労働分配率は大きく変化します。
ちなみに、労働分配率は、低ければ企業に残る最終利益は増加します。
しかし、その労働分配率を低めに抑えれば、退職者が増えて事業が困難になる場合もあります。
今後、最低賃金が上昇し、人件費が増加していくと予想され、労働分配率も上昇します。
そのため、適正な労働分配率を維持するには、限界利益も増やしていかなければなりません。
労働分配率を維持することは、従業員のモチベーション向上・優秀な人材の確保にも影響しま
す。
人件費を圧縮すれば、利益を確保することは可能となります。しかし、従業員のモチベーショ
ンや人材の確保に影響がでます。
そのため、人件費と限界利益のバランスで考えるのが、重要になります。
会社を経営していると、「今期はどうするか?」という短期的な数字に意識が
向きがちです。
しかし、経営を安定させ、成長させるためには 5年先を見据えた中長期の視点
が欠かせません。
その役割を果たすのが 5ヵ年経営計画 です。これは、向こう5年間で会社を
どう成長させていくかを描いた 未来の設計図 であり、経営判断の地図ともい
えます。キャッシュフローコーチが伴走しながら作成することで、数字だけで
なく「お金の流れ」も整理され、実行性の高い計画になります。
1.なぜ5ヵ年経営計画が必要なのか?
項目 | 内容のイメージ |
ビジョン | 5年後にどんな会社になりたいか(例:売上10億円・地域No.1の信頼) |
数値目標 | 売上・利益・人員数・キャッシュフローの具体的な数字 |
戦略 | 新規顧客の開拓、既存顧客の深耕、商品・サービスの強化 |
行動計画 | 毎年の重点テーマ(例:1年目は組織基盤強化、2年目は新市場進出) |
3.5ヵ年経営計画を作る効果
4.まとめ
5ヵ年経営計画は、単なる「数字合わせの資料」ではありません。
それは 会社の未来をデザインする道しるべ であり、
といった効果を生み出します。
キャッシュフローコーチがサポートに入ることで、「数字の見える化」と「経
営の安心感」を両立でき、経営者は本業に集中しながら着実に会社を成長させ
ることができます。
目先の1年だけでなく、5年先を見据える――その一歩が、経営の安心と成果
につながります。