1.1 売上だけを追いかけても、利益は残らない
多くの経営初心者が陥りやすいのが、「売上を上げればうまくいく」と考える
ことです。
しかし、実際には売上が伸びても、経費が増えれば手元にお金は残りません。
大切なのは「利益をいくら残したいか」から考えることです。
1.2 目標利益を決めると、お金の流れが見える化できる
「年間でいくら利益を出したいか」を決めると、そこから必要な売上・費用の
バランスを逆算できます。これにより、感覚的な経営から“数字で見える経
営”に変わります。
1.3 この記事で紹介する「逆算アプローチ」の全体像
(1)目標利益を設定し、(2)費用構造を整理し、(3)逆算して売上を決め
る。
この3ステップを理解すれば、経営計画の軸がしっかりと定まります。
2.1 固定費・変動費・変動費率を整理しよう
まずは毎月・毎年かかる「固定費(家賃・人件費など)」と、売上に比例して
増減する「変動費(仕入・外注費など)」を分けましょう。
2.2 限界利益率の基本を押さえる
限界利益率とは「1-変動費率」。
売上のうち、どれだけが利益の源泉として残るかを示す指標です。
2.3 目標利益を設定する
「年間で○万円の利益を出したい」など、期間と金額を具体的に決めましょ
う。
税引前利益か、経常利益かも明確にします。
2.4 売上目標を出すための公式
(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)=必要売上高
たとえば固定費1,000万円、目標利益500万円、変動費率60%なら、
(1,000+500)÷(1-0.6)=3,750万円が必要売上です。
2.5 粗利益率を使った簡易計算
粗利益率が40%なら「必要粗利益 ÷ 0.4」で売上目標を算出できます。
数字が苦手でも、Excelや会計ソフトで簡単に計算できます。
2.6 現実性のチェック
計算だけでは終わりません。
単価・販売数量・体制・市場規模などから、達成可能かを確認しましょう。
ここで「やりたい目標」と「できる目標」をすり合わせることが重要です。
数字の目標を立てるばかりではなく、実際にどのようなアクションが必要かを
考えることが重要です。
3.1 数字は常に変動する
固定費や変動費が変われば、必要な売上も変わります。
半年ごとに見直す習慣をつけましょう。
3.2 売上アップだけが答えではない
経費を見直すことで、売上を上げずに利益を増やすケースも多くあります。
「コストの最適化」も経営の大事な戦略です。
3.3 達成率をモニタリングする
毎月の売上・利益の進捗を数字で把握し、早めに対策を打つことが成功の鍵で
す。
3.4 チームにわかりやすく伝える
「利益のために、あと○件〇○して●●を売る」「仕入を〇○して○%抑え
る」など、現場が動ける言葉で共有しましょう。
3.5 数字が出せたけど不安な方へ
「計算はできたけど、実行できるか不安…」という方は、キャッシュフローコ
ーチに相談してみましょう。
資金繰り・利益計画・行動計画を一緒に整理してくれる専門家です。
もちろん、無理に依頼する必要はありませんが、「一度プロの視点で数字を見
てもらう」だけでも、経営の安心感がまったく違います。
まとめ
目標利益から逆算して売上を決める方法は、数字に苦手意識がある人でも実践
できるシンプルな考え方です。
「勘」ではなく「数字」で経営を考える第一歩として、ぜひこの方法を試して
みてください。
