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ビーマック会計ニュース 第174号

令和6年度(令和6年4月~令和7年3月)の」法人税申告の実績について

仙台国税局から公表された直近の法人税申告の実績から東北地域の景況をお知らせします。アフターコ
ロナの回復基調が一段落し、景気後退を示しています。

  • 令和6年度の東北6県の法人税の申告件数は、16万5,057件で、その申告所得金額の総額は1兆8,003
    億円、申告税額は3,396億円で表のとおり、前年比割れです。
 年度

項目

令和5年度 令和6年度
件数等 件数等 増減 前年対比
申告件数 164,987件 165,057件 70件 100.0%
申告所得金額 18,092億円 18,003億円 ▲89億円 99.5%
申告税額 3,469億円 3,396億円 ▲74億円 97.9%
  • アフターコロナの回復基調から一転して、法人数は微増ながら、所得金額も申告税額も減り、ピークは
    越えた感があります。令和6年の申告件数に対する黒字申告割合も34.5%とこちらも0.6%下回りました。
    一方、黒字申告1件当たりの所得金額は3,159万円と前年比101.2%と伸びています。片や、赤字申告を
    した、65.5%の法人の1件当たりの欠損金額は640万円(前年比126%)と欠損額が大幅に増えました。
    黒字会社と赤字会社の2極化はさらに進行していて、勝ち組と負け組の差が目立ちます。

気になる「法人税等の調査実績」ですが、実感とは異なり、調査件数が前年比76%と大幅減です。一方、
1件当たりの追徴税額は大幅増で、重点的に大口悪質案件を対象としている影響と考えられます。

年度

項目

令和5年度 令和6年度
件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 3,403件 97.1% 2,587件 76.0%
非違のあった件数 2,505件 95.5% 1,955件 78.0%
申告漏れ所得金額 284.0億円 134.0% 278.9億円 98.2%
調査による追徴税額 63.7億円 110.1% 64.1億円 100.5%
1件当たり申告洩れ所得 835万円 138.1% 1,078万円 129.1%
1件当たり追徴税額 187万円 113.4% 248万円 132.2%
  • なお、国税庁からは、法人税の不正割合の高い業種も公表されています。
順位と業種 不正割合 順位と業種 割合 順位と業種 割合
1.バークラブ 62.3% 3.外国料理 40.2% 5.大衆酒場 34.4%
2.その他飲食 45.2% 4.美容 34.5% 6.自動車修理 32.9%

 

(文責 社員税理士 大和田利明)

 

最近の税務調査の傾向と対応策としての書面添付制度

税務調査の立ち合いをする度に、お客様の心理的な負担は大きいと感じます。
税務署からの調査の依頼は、最初に関与税理士あてに来ます。ゆえに弊社ではお客様との日程調整に
余裕を持たせて、必ず事前打ち合わせを行い、予備知識を持って調査に臨むようにしています。それでも、
調査が受け身の立場で行われ、追い込まれた感での対応に終始するため、疲労感が強いようです。
さらに、最近の調査では、調査立会経験のある経営者の予測を上回る事象も目立ってきました。

「お知らせしたいこと」

①最近の調査対象の抽出や選定は、国税庁のAIが行っています。
これにより、申告書を電子データで提出後すぐに調査依頼が来るなど、選定のスピードが速くなって
います。
さらに日本最大の法人データベースであるKSKシステムでは、過去比較や同業他社比較で、法人側
の不正処理をパターン化し見つけ出します。
②コロナ期間の調査省略期の机上分析経験から調査官の事前分析が深いです。
コロナ期間は、実地調査が省略されていました。これにより、その後の調査を受ける間隔が伸び調査
リスクはやや減りました。ただ、コロナ期間中に調査官は分析能力を磨き、業種や地域の特色等の知
見を積み上げています。
③実地調査の項目がピンポイントで、深堀りしてきます。
AIによるデータ分析と調査官の事前分析で、あらかじめ重点項目を絞り込んでいる印象が強いです。
これまで同様に、売上の期ズレや棚卸のモレの調査は行いますが、不正の感触が薄ければ早々に外注
費や人件費、雑収入など業種特有の誤りの多い事項に切り込んできます。効率的で精度の高い調査で
す。

この状況に対応するには、当たり前ですが、適正な会計処理と事前節税・事後脱税の意識、会社内での
チェック体制で牽制機能を持つことなど地道な取り組みが必要です。
加えて弊社では必要と思われるお客様に「書面添付制度」を実施しています。
「書面添付制度」とは、税理士の作成する決算書・申告書の品質保証書のことです。この書面には、AI
が選定判定の基礎とする、今期の特色である大きく増減した科目の原因及び理由が記載されます。
理由に合理性ありと判断されると、調査前の税理士側への「意見聴取」は行われますが、税務調査の省
略に結びつきます。ここが、最もお客様のメリットが大きい箇所です。

弊社が、お客様の書面添付制度を継続できるように協力をお願いいたします。

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