昨年、法人については、非上場株式(自社株)の相続税・贈与税の納税猶予制度が10年間の時限措置として導入されました。
これに続き、個人事業主についても10年間の時限措置として、事業用資産の相続税・贈与税の納税猶予制度が創設されました。個人事業主が、事業承継をする際の税負担をゼロにする新しい制度です。
個人と法人の事業承継税制を比較して、その特徴を確認します。
個人版事業承継税制 |
法人版事業承継税制 |
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税 制 | 相続税・贈与税の納税猶予制度 | 相続税・贈与税の納税猶予制度 |
期 間 | 10年間の時限措置平成31年1月1日~平成40年12月31日 | 10年間の時限措置平成30年1月1日~平成39年12月31日 |
対象税猶予率 | 相続税・贈与税で100% | 相続税・贈与税で100% |
後継者要件 | 承継計画に記載された認定相続人 | 承継計画に記載された対象会社の役員(先代の親族以外も可) |
猶予対象資産 | ・土地(400㎡まで)・建物(800㎡まで)
・減価償却資産(固定資産税の課税対象で、青色申告書添付の貸借対照表に計上されている) ・車両(自動車税等の対象で貸借対照表に計上されている) |
非上場株式(自社株) |
要 件 | ① 経営承継円滑化法による県知事の認定が必要② 平成31年4/1~36年3/31までに承継計画の提出が必要
③ 事業継続が要件 ④ 承継計画には認定経営革新等支援機関の指導助言が必要 |
① 経営承継円滑化法による県知事の認定が必要② 平成30年4/1~35年3/31までに承継計画の提出が必要
③ 事業継続が要件 ④ 承継計画には認定経営革新等支援機関の指導助言が必要 |
選択制 | 既存の事業用小規模宅地特例との選択制 | - |
担保提供 | 担保の提供と納税猶予の取り消しの際は、猶予税額と利子税の負担あり | 担保の提供と納税猶予の取り消しの際は、猶予税額と利子税の負担あり |
(文責 税理士 大和田利明)
1.『働き方改革』とは
働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置です。
2.働き方改革における見直しの内容と施工時期
①残業時間上限の規制
【内容】
従来上限規制はなかったが「年間720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間」の上限を設定
【施行時期】
大企業 2019年4月 中小企業 2020年4月
②年次有給取得の義務化
【内容】
「年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して企業は必ず年に5日以上の有給休暇を取得させる」ことが義務化。これは、正規雇用の従業員だけでなく、年間10日以上の有給休暇が付与される非正規雇用のパートアルバイトも該当
【施行時期】 2019年4月
③勤務時間インターバル制度の普及促進
【内容】
前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に、一定時間の休息の確保を努力義務とする
【施行時期】 2019年4月
➃中小企業の時間外割増率猶予措置の廃止
【内容】
60時間を超える時間外労働について、中小企業は割増率25%で据え置かれていたが、大企業と同様に50%の割増率となる
【施行時期】 2023年4月
⑤「フレックスタイム制」の拡充
【内容】
労働時間の清算期間の上限が1ヵ月から3ヵ月に変更。これにより、月をまたいで労働時間の調整が可能になる。例えば、6月に余分に働いて8月を短めにし、夏休み中の子供と過ごす時間を作ることが可能になる。
【施行時期】 2019年4月
⑥同一労働同一賃金の義務化
【内容】
業務上の責任の範囲や人材活用の運用等(転勤、異動、キャリアプランなど)が異なる場合を除き、同じ業務を行っているのなら正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(パート、アルバイト、契約社員等)の待遇に差をつけてはいけない
【施行時期】
大企業 2020年4月 中小企業 2021年4月
⑦高度プロフェッショナル制度の創設
【内容】
金融ディーラーやアナリスト、コンサルタントなど「一定の専門知識を持った職種」で「年収1,075万円以上」の労働者の柔軟な働き方を可能にするため、労働時間規制や時間外労働の割増賃金支払い規定の対象外とする
【施行時期】 2019年4月
⑧産業医の機能強化
【内容】
事業主は産業医に必要な情報を提供し、産業医の勧告を衛生委員会に報告することを義務とする
【施行時期】 2019年4月
※ 詳しい情報は厚生労働省ホームページ
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」をご覧ください