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大和田会計ニュース 第163号

所得税と個人住民税の定額減税と源泉徴収事務

岸田政権では税収増に伴い、物価高への対応策として所得税と個人住民税の定額減税を税制改正に盛り込みました。方法としては定額給付ではなく、今年の6月以降に特別控除により減税がされ、その効果を実感することとなります。一方、給与等を支給する法人や事業主には、例年と異なる事務負担が発生しますので概要を確認しておきます。

●給与所得者(サラリーマン)の場合

所得税

個人住民税

減税対象者に所得制限が付いています 令和6年の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入で2,000万円以下) 令和5年の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入で2,000万円以下)
特別控除の額は 本人:3万円   同一生計配偶者又は扶養親族も1人につき3万円

但し、その者の所得税額が特別控除額以下なら、所得税額が上限になる

本人:1万円   控除対象配偶者又は扶養親族も1人につき1万円

但し、その者の個人住民税の所得割額が特別控除額以下なら、その額が上限

実施時期と実施方法は 令和6年6月1日以降、最初に支給される給与等(含む賞与)の源泉徴収額から特別控除額を控除します。

6月に控除しきれない金額は7月以降に順次控除します。6月以降に入社したり、6月以降に扶養親族等に異動がある場合は年末調整や確定申告で対応します。

令和6年6月の給与支払いの際の特別徴収はしません。

特別控除額を控除した後の個人住民税額を令和6年7月から令和7年5月までの11カ月で均等に徴収します。

源泉徴収義務者(法人や事業主)の注意点
①所得税の源泉徴収事務: 6月1日における扶養控除等申告書提出者(いわゆる甲欄適用者)が対象になります。6月時点の同一生計配偶者や扶養親族(16歳未満の扶養親族も含む)の人数により確定した定額減税額を6月1日以降の給与や賞与から順次控除していきます。一度で控除が終わるケースも、12月まで引き続き控除額が残るケースもあり各人別の控除事績簿での管理が必要となります。
(具体的な処理については、国税庁HPの定額減税特設サイトを参照ください。)

②個人住民税の源泉徴収事務: 令和6年度の特別徴収は、例年と異なり6月の徴収はありません。令和6年7月から令和7年5月までの11回での徴収になります。手元に届いた通知額により徴収を行うので、各人毎の事績管理は必要ありません。

(文責 税理士 大和田利明)


確定申告はマイナンバーカードを使ってe-taxで!

確定申告の時期となりました。どのような方法で確定申告書を提出されていますか。
紙で? 確定申告会場で? パソコンから? スマホから? 色々な方法があります。
マイナンバーカードが普及し、お持ちの方も増えたことと思います。そこで今年はマイナンバーカードとスマホやパソコンがあれば出来るe-taxで申告してみてはいかがでしょうか。
|e-taxの5つのメリット
 ●税務署への持参不要       ●添付書類提出不要(一部資料除く)
 ●早期還付            ●確定申告期間24時間利用可能
 ●印刷・郵送代不要         (メンテナンス等を除く)

|マイナポータル連携による申告書の自動入力対象が拡大し、より便利に
 マイナポータル連携とは、所得税確定申告の手続きにおいて、マイナポータル経由で、控除証明書等のデータを一括取得し、確定申告書の該当項目へ自動入力する機能です。
令和5年分確定申告からは、給与所得の源泉徴収票・国民年金基金掛金・iDeCo・小規模企業共済掛金が対象となっています。
(収入関係)           (控除関係)
 給与所得の源泉徴収票       医療費・ふるさと納税
 公的年金等の源泉徴収票      生命保険・地震保険
 株式の特定口座          社会保険(国民年金保険料、国民年金基金掛金)
                  iDeCo・小規模企業共済掛金
                  住宅ローン控除
※ただし、お勤め先(給与等の支払者)が税務署にe-taxで給与所得の源泉徴収票を提出していること、控除証明書等の発行主体が、マイナポータル連携に対応していること等の要件がありますので、事前の確認が必要です。
※また、マイナポータルを利用するためには、e-taxとマイナポータルを連携させるための事前準備を行う必要があります。また、マイナンバーカード読取対応のスマホ(又はICカードリーダライタ)が必要です。

 さらに、青色申告決算書収支内訳書の作成だけではなく、消費税申告(「簡易課税制度」又は「2割特例(※)を適用される方は、売上(収入)金額等の入力だけで税額等が自動計算) にも対応しています。
(※)インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になられた方について、売上税額の2割を消費税の納税額とすることができる特例です。

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大和田会計ニュース 第162号

令和4年度(令和4年4月~令和5年3月)の法人税申告の実績について

岸田政権では、税収見込みの上振れ分を減税に回す政策を打ち出しています。
福島の景況感では、税収増には違和感がありますが、仙台国税局から公表された直近の法人税申告の実績から東北地域の回復状況をお知らせします。

●令和4年度の東北6県の法人税の申告件数は、16万4,559件で、その申告所得金額の総額は過去最高で1兆6,644億円、申告税額は3,219億円で表のとおり大きく伸びています。

 年度

項目

令和3年度 令和4年度
件数等 件数等 増減 前年対比
申告件数 163,371件 164,559件 1,188件 100.7%
申告所得金額 14,866億円 16,644億円 1,778億円 112.0%
申告税額 2,902億円 3,219億円 316億円 110.9%

●表からは、明らかにアフターコロナの景況回復で、法人数も所得金額も伸びていて、不況からは脱している状況です。令和4年の申告件数に対する黒字申告割合も35.9%と伸びています。黒字申告1件当たりの所得金額は2,814万円と前年比111%と伸びています。一方、赤字申告をした、64.1%の法人の1件当たりの欠損金額も721万円(前年比119.7%増)と大きくなっています。これらからは黒字会社と赤字会社の2極化が見て取れ、勝ち組と負け組の差が拡大してます。

気になる「法人税等の調査実績」ですが、これもアフターコロナの平常時に戻り、表のとおり調査件数・調査で非違のあった件数とも大きく回復しています。

年度

項目

令和3年度 令和4年度
件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 2,643件 293.7% 3,506件 132.7%
非違のあった件数 1,901件 255.9% 2,624件 138.0%
申告漏れ所得金額 258.3億円 194.8% 211.9億円 82.1%
調査による追徴税額 45.9億円 166.0% 57.9億円 126.2%
1件当たり申告洩れ所得 977万円 66.3% 605万円 61.9%
1件当たり追徴税額 174万円 56.5% 165万円 95.1%
  • 表からは、調査の件数が明らかに回復していることが見て取れます。調査件数に対する非違のあった件数割合は令和3年度で72%、令和4年度で75%と高く、税務署側の事前の調査対象の選定能力の高さが伺い知れます。調査件数の増加で、1件当たりの申告漏れ所得金額は減っていますが、これも、調査対象を広範囲に広げている結果と考えられます。

(文責 税理士 大和田利明)

 

書面添付制度について

書面添付をご存じでしょうか?
書面添付制度とは、税理士が作成する申告書に保証書をつける制度です。
申告作業をした税理士がどのような作業をし、どのような資料を見て、どのように考え、どうやって申告書を作成したかということを書面にして申告書と一緒に提出します。税務署はその書面内容を見て、この部分は説明を詳しく聞きたいといったところがある場合は、税理士へ意見聴取をし、解決すれば税務調査が省略されます。

現状では書面添付されていると99.5%税務調査が行われていません。また、意見聴取になったものが1.0%です。そのうち調査に移行されたものが、53.5%(中央経済社 ゼロから始める書面添付活用術 金田康弘著 参考)です。しかし、脱税に利用するものではありません。帳簿がある程度整備されておらず、見ていないものを虚偽記載した場合は、税理士が罰則を受ける場合もあります。

 

財務省はさきごろ、令和4年度事務年度国税庁実績評価書を公表しました。
令和4年度事務年度国税庁実績評価書によると、実績目標のひとつ「税理士業務の適正な運営の確保」の中で、書面添付制度の普及・定着に向けた取組みがありますが、税理士会等との協議会等において積極的に意見交換を行ったとして達成度を「〇」と判定しています。
令和4年度における税理士法第33条の2に規定する書面の添付割合(税理士が関与した申告書の件数のうち、書面添付があったものの件数の割合)を見てみると、法人税は10.0%(前年度9.8%)で初の2桁となりました。そのほか、所得税1.5%(同1.5%)、相続税23.4(同23.1%)となっています。

 

書面添付は「三方よし」の制度
書面添付は三方よしです。 なぜかというと、経営者の皆さんにとって税務調査がほぼなくなり、万一税務調査に入られそうになっても税理士が意見聴取で、調査省略を得ることになり本業に専念できます。また税理士事務所側も税務申告はもちろん、お客様の財務改善等サービスの向上をすることができます。そして、税務署では調査選定対象の誤りが少なくなり、不正発見の割合が向上し、税収増になります。

 

書面添付はお客様のご協力が必要です
協力が必要なものとして帳簿をきちんとつけることもありますが、会社のこと、プライベートなこと、社員の業務内容を含め何でも協力してお話していただくことが必要になります。(不正や洩れなどを防ぐためです)

書面添付に興味を持たれた方はぜひ担当者に相談してみてください。

 

※ 誠に勝手ながら12月30日(土)~1月3日(水)までを年末年始の休みとさせて頂きます。

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大和田会計ニュース 第161号

相続登記が義務化されます

高齢化社会の到来で、弊社でも人生の終末=相続のお手伝いの機会が増えています。相続作業の中で、被相続人より前の世代の方の名義のままの土地があると手間が増えて相続人泣かせです。
狭い日本の国土で、土地や建物の価値に重きが置かれていた「土地本位制」の時代には、義務を課さずとも登記がされていましたが、バブル崩壊により、価値の低い不動産は名義を変えずに放置された様です。
一説によると、この「所有者不明土地」は日本では、九州と同じ程度の面積があるとのことです。当然、防災対策の公共事業用地取得や民間の土地取引に支障が出るので、法律が改正されて早いものでは来年の4月から施行されます。
改正されたポイントは下記のとおりです。

1.相続登記の義務化

相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。
この義務化は、令和6年4月1日から始まります。では、令和6年3月以前に相続した不動産なら、対象にならないかというと、これも令和6年3月までに相続登記がされていない場合は、義務化の対象です。令和6年4月1日から3年以内(令和9年3月31日まで)に相続登記をする義務が生じます。
この制度を進めるために、「過料」の制度も始まります。正当な理由がないのに相続登記をしない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

2.不動産所有者の住所変更等の登記の義務化

「所有者不明土地」が増えたもう1つの理由に、所有者の住所変更登記がされていないことがあります。これにメスを入れるために、不動産所有者は個人・法人ともに登記名義人が個人であれば住所・氏名、法人であれば本店・商号に変更があった日から2年以内に不動産登記の変更をすることが法律上の義務になりました。
この義務化は、令和8年4月1日から始まります。これも令和8年3月以前に変更があった場合でも、義務化の対象になります。令和8年4月1日から2年以内(令和10年3月31日まで)に変更登記をすることが求められます。
この制度を進めるために、同じように「過料」の制度も始まります。正当な理由がないのに変更登記をしない場合は、5万円以下の過料が科される可能性があります。

(文責 税理士 大和田利明)

 

チャットボット(ふたば)による年末調整の相談を開始

国税庁では10月2日からチャットボット(ふたば)による年末調整の相談を開始しました。スマホなどで簡単に確認できるので記載方法などに困ったら国税庁のホームページを検索して下さい。

チャットボットとは、「チャット (会話)」と「ボット (ロボット)」を組み合わせた言葉で、AI(人工知能)が自動で回答するウェブサービスです。

利用時間は、土日や夜間でも24時間いつでも利用できます。(メンテナンス時間を除く)

相談可能なものとして
・年末調整に関する相談(令和5年分)
・所得税の確定申告に関する相談(令和4年分)
・消費税の確定申告に関する相談(令和4年分)
・インボイス制度に関する相談 が対応しています。

特に今回開始された年末調整の相談では、従業員の方が年末調整の各種申告書を作成する際に問合せが多い次の事項に対応しています。
・年末調整の各種申告書の内容、書き方、添付する書類に関すること
・年末調整で適用される控除に関すること
・令和5年分の税制改正に関すること
・マイナポータル連携などによる年末調整の手続の電子化に関する質問
・転職をした場合や育児休業を取得した場合など、その方の状況に応じて行う年末調整の手続に関すること
・年末調整のながれ(年税額の計算)や過不足額の精算に関する質問 など。

注意事項としては
・相談が多い事項に対応しており、すべての質問に対応しているわけではないこと。
・相談範囲について、それぞれ過去の年分には対応していないこと。
・所得税の確定申告・年末調整については、日本国内の居住者の方を前提にしていること。
・回答は一般的な事項について説明しており、確定申告などの各種手続は、その申告内容も含め自己の判断と責任において行うこと。
・回答は、専門用語を一般的な用語に置き換えて説明している場合があり、回答に不明な点がある場合には、タックスアンサー等を確認すること。 などがあります。

なお、国税庁のホームページを参照下さい。
チャットボット(ふたば)に質問する
年末調整がよくわかるページ(令和5年分)
その質問、チャットボットに相談しませんか?(リーフレット)

PDFはこちらから 

大和田会計ニュース 第160号

小規模事業者の「電子データの保存方法」はどうすればいいのか

3月の国会で、インボイスと並んで、電子データ保存制度も事務負担を緩和する措置が成立し、令和6年1月以降の保存方法が決まりましたので確認します。

1.前提:電子データ保存に詳しくない、ITツールにも不慣れな小規模事業者で

①電子取引はあるが、カード会社や電力会社、アマゾンなど月に数件程度で
②専属のスタッフがいない。
③手間はやむをえないが、追加のコストは掛けたくない。

場合に、簡単にデータを保存する際の対応方法です。

2.現在はどうなっているのか。(令和5年中の経過措置)

1の小規模事業者でも、今年中は電子取引のデータを紙で出力して保存する方法が認められています。

3.来年からどう変わるのか。(令和6年1月以降の保存方法)

帳簿書類の保存義務がある事業者(法人・個人とも)が、電子データのやり取り(電子データの請求書や領収書、見積書、注文書、契約書など)をする場合、この電子データの保存が必要になります。

もちろん、紙でやり取りしたものを敢えてデータ化する必要はありません。
電子データの正確性を確保するためには、

①改ざん防止の措置が必要になります。具体的には改ざん防止を定めた「事務処理規程」を作成します。
国税庁のHPにひな型があります。
②税務調査で税務職員から指示されたデータの出力ができるようにディスプレイやプリンタ等の備え付けが必要です。
③税務調査において「日付・金額・取引先」が検索できるようにしておきます。
認められる方法は以下の2つです。

●Aパターン
  まずは、「事務処理規程」を作ります。
次に電子データ取引が起ったら、書類をダウンロードします。この書類に検索可能なファイル名を付けます。日付と取引先と金額を20230105-アマゾン-15000のように示してファイル名にします。これをパソコン内のフォルダに保存して終わりです。
●Bパターン
  まずは「事務処理規程」を作ります。
次に電子データ取引が起ったら、データを紙にプリントアウトします。この紙を取引先毎や日付順に分かる様に整理し保管します。
電子データは検索可能なファイル名にする必要はなく、簡単なファイル名で、税務調査で提示できるようにフォルダに保存します。

(文責 税理士 大和田利明)

インボイス制度導入後の会計ソフト入力方法について

自計化で、市販ソフトを使用されているお客様も、多数いらっしゃいます。
軽減税率8%が導入された際、入力にひと手間増えたように、インボイス導入でも
ひと手間増えますので、それについてご案内します。

事業者は、消費税について、免税、簡易課税、本則課税に区分されます。
インボイス取引を、仕訳入力の際、厳密に行わなければならないのは、本則課税の
事業者です。(簡易課税の場合でも、入力方法は本則と変わらない場合が多いようです。)

では、インボイスをどこで表現するか?今のところ2つのパターンを確認しています。
①消費税区分を追加する(勘定奉行等)
②消費税区分は変えずに、請求書区分を追加する(弥生会計等)

消費税区分を追加する①の勘定奉行等は、消費税コードに「課税仕入(免税事業者等)」と
いうものが出来るようですので、わかりやすいと思います。

そこで、新たに請求書区分の欄が追加される弥生会計のパターンを以下ご説明します。

請求書区分欄で、「適格」か「区分記載」を選択できるようになっています。

「適格」は、今まさにはじまろうとしている、適格請求書の事で、なじみが出てきていると
思います。
「区分記載」は? 私も忘れておりました。消費税8%と10%が出来た際に、それを分けて記載しなさいとなったのが区分記載請求書です。適格請求書以外を総称するため、区分記載と表現したようですね。10月1日以降の仕入については、登録番号が無い請求書等を受け取った際には、区分記載を選択してください。

なお、インボイス登録をされていない相手先が、限定的な場合は、会計ソフトによっては補助科目を設けるなどして、確認の手間を少なくする事もできます。設定については、弊社担当にご相談下さい。

(by N・H)

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大和田会計ニュース 第159号

2024年から導入される新NISA制度について

新しいNISAの制度について、我が子から質問を受ける機会がありました。将来の生活設計に不安を感じる若い世代の方々の関心は高いと感じます。
NISAのメリットは、投資で得られた利益に係る税金が非課税になることです。これまでは、期間に制限がある上に、投資限度額も低く、投資初心者向けの制度でした。
これが、2024年からの新NISA制度では、下記のとおり拡充され使いやすくなります。

現行制度

新しい制度

つみたてNISA

一般NISA

つみたて投資枠

成長投資枠

年間投資枠 40万円 120万円 120万円 240万円
非課税保有期間 20年間 5年間 無期限化 無期限化
非課税保有限度額 800万円 600万円 1,800万円           (うち成長投資枠1,200万円)
口座開設期間 2023年まで 2023年まで 恒久化 恒久化
投資対象商品 金融庁の基準を満たした投資信託・ ETF 上場株式・ETF・REIT・投資信託 金融庁の基準を満たした投資信託・ ETF 上場株式・ETF・REIT・投資信託

(デリバティブ取引の投信等を除く)

対象年齢 18歳以上 18歳以上 18歳以上 18歳以上
両制度の併用 不可能 不可能 可能 可能

さて、現行のNISA制度を利用している方は、来年から新制度に切り替わるとどうなるのか。これまでの保有財産は現行の非課税期間で保有できます。「つみたてNISA」制度は保有期間が20年と長いので、投資限度金額は低いものの投資リスクから見るとおすすめです。
一方、新制度は無期限で非課税運用ができる大きなメリットがあります。生涯の投資限度額も1,800万円と大幅に増加しました。さらに、非課税で投資した商品を売却すると、翌年には売却枠が復活して非課税枠の再利用もできます。
もちろん、投資になりますので、元本の保証はありません。リスクを考慮しつつ、投資のキホンである「分散して」「長期に」運用していくことが肝要です。これを考慮すると、若い世代や現役世代にフィットする制度に感じられますが、年間投資枠が新制度では、最大360万円まで利用できます。金利のつかないタンス預金をお持ちの高齢者世代は運用のメリットを検討してはいかがでしょう。

(文責 税理士 大和田利明)

給与のデジタル払いが可能になりました

労働基準法では給与は現金払いが原則ですが、労働者が同意した場合は銀行口座などへの振り込みが認められてきました。近年、生活の様々な場面でキャッシュレス決済が普及し、現金をあまり利用しないという人も増えてきています。この様なキャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化のニーズに対応するため、労働者が同意した場合には給与の支払いも『〇〇pay』といった資金移動業者※の口座へ支払うことが2023年4月1日より出来るようになりました。
※厚生労働大臣が指定した資金移動業者(〇〇payなど)のみです。

★ 給与支払いの原則と口座振り込み
 会社が従業員に支払う給与は『通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない』と労働基準法で規定されています。その例外として、労働者から個別に同意を得れば労働者が指定する本人名義の銀行口座などに振り込むことが認められています。
★ 事前の協定締結が必須です
 給与のデジタル払いを導入する場合には、まずは雇用主と労働者で労使協定の締結が必要になります。その上で、雇用主は給与のデジタル払いに関する留意事項を労働者説明し、労働者の個別の同意を得る必要があります。
★ 受け取り額は適切に設定して下さい
 指定資金移動業者口座は『預金』をするためではなく、支払いや送金に用いるためのものであることを理解の上、支払いなどに使う見込みの額を受け取るようにして下さい。また、受け取り額は1日当たりの払出上限額以下の額とする必要があります。
★ 口座の上限額は100万円以下です
 口座の上限額は100万円以下に設定されています。上限額を超えた場合は、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されます。この際の手数料は労働者の負担になる可能性がありますので、指定資金移動業者にご確認下さい。
★ 口座残高の現金化も可能です
 ATMや銀行口座などへの出金により、口座残高を現金化(払い出し)することも出来ます。少なくとも毎月1回は労働者の手数料負担なく指定資金移動業者口座から払い出しが出来ます。払い出し方法や手数料は指定資金移動業者により異なります。
★ 口座残高の払い戻し期限は少なくとも10年間
 口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は申し出などにより払い戻してもらうことが出来ます。

👉注意点

  • 現金化できないポイントや仮想通貨での給与支払いは認められません。
  • 給与のデジタル払いは、支払い・受け取り方法の選択肢の1つです。デジタル払いを導入した事業所においても、全ての労働者の現在の給与支払い・受け取り方法の変更が必須となるわけではありません。
  • 労働者が希望しない場合には、これまで通り現金や銀行口座などで受け取ることが出来ます。また、雇用主は希望しない労働者に給与のデジタル払いを強制してはいけません。
  • 給与の一部を指定資金移動業者口座で受け取り、その他は現金や銀行口座などで受け取ることも可能です。

( 文責 社会保険労務士 宮嵜智也 )

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大和田会計ニュース 第158号

インボイス制度の令和5年改正(緩和措置を中心に)

3月の国会で、インボイス制度の税負担や事務負担を緩和する措置が成立したので、主要項目を確認します。

1. 小規模事業者に対する納税額の負担軽減措置(2割特例で税額大幅減)

ポイント
①:納付税額が売上税額の2割で済みます。(軽減額は下記で確認)
②:対象者は免税事業者からインボイス発行の課税事業者になった方が該当します。
③:インボイス発行事業者の登録をして、申告書に2割特例適用を記載するだけです。

事例:サービス業で売上700万円(消費税70万円)経費150万円(消費税15万円)

実額課税

70万円-15万円=55万円 適用期間は3年間
令和5年10月~令和8年9月の属する各課税期間

簡易課税

70万円-35万円=35万円

納税額緩和特例

70万円×2割=14万円

2. インボイス制度登録申請手続きの柔軟化

条      件

提出期限や申請日が見直しされる

令和5年10月1日から登録を受ける場合 これまでの3月31日→5年9月30日まで提出
免税事業者が登録申請する場合 課税期間の初日から起算して15日前まで
インボイス業者が登録を取消する場合 課税期間の初日から起算して15日前まで
令和5年10月1日以降にインボイス事業者登録をする場合 登録を受けようとする日から起算して15日前まで

3. 1万円未満の値引き等は「返還」のインボイスの交付義務が免除

インボイス制度導入後に、買い手側が振込手数料を差引いて代金を支払う場合は、「売上」の値引きとして返還インボイスの交付が予定されていました。
事務負担が増大し、経理処理方法も複雑になることへの緩和策として⇒
※金額が「税込価額1万円未満の場合は、返還インボイスを交付する義務がない。」と改正されました。
対象者はすべてのインボイス登録事業者であり、これまでと同じ取り扱いが可能となります。

4. 売上が1億円以下の事業者の1万円未満のインボイス保存義務が不要

インボイス制度はインボイスの書面の保存も義務付けられ、事務負担の増大が懸念されていました。
小規模事業者への配慮として①期間は令和5年10月~令和11年9月までの6年間限定で、②基準期間における課税売上高が1億円以下の事業者か、特例期間における課税売上高が5千万円以下の事業者に限定して、③税込み1万円未満の課税仕入れはインボイスの保存がなくても帳簿保存で仕入税額控除ができます。

(文責 税理士 大和田利明)

小規模事業者持続化補助金「インボイス特例」追加

3月10日から2023年度の小規模事業者持続化補助金(第12回公募)の申請受付がスタートしました。今回の目玉はインボイスへの対応を迫られる免税事業者を対象にした「インボイス特例」です。通常枠や特別枠で申請を検討している人がインボイス転換事業者の場合、最大50万円上乗せ支給を受けられます。

同補助金は、常時使用する従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)の場合」5人以下、それ以外の業種の場合20人以下である小規模事業者が対象です。自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成する必要があり、それに要する経費の一部を補助するものです。

補助対象経費は、新商品の試作品開発費用、新サービスを紹介するチラシ作成代、販路開拓を行うための旅費、事業遂行に必要な製造装置の購入やアルバイト費用等となります。

一般の通常枠以外に次のカテゴリーがあります。
●「賃金引上枠」・・最低賃金を、地域別最低賃金より+30円以上とした事業者
●「卒業枠」・・小規模事業者として定義する従業員数を超えて、規模を拡大する事業者
●「後継者支援枠」・・アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者
●「創業枠」・・過去3年以内に「特定創業支援事業」による支援を受け、創業した事業者

上記の4つの枠の事業者で、2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合に補助額を一律50万円上乗せとなる「インボイス特例」の拡充措置が行われ、補助上限額が最高250万円にまで拡充されています。

補助率・補助上限は以下の通りとなります。

類  型 通常枠 賃金引上げ枠 卒業枠 後継者支援枠 創業枠
補 助 率

2/3

2/3(赤字事業者は3/4)

2/3

2/3

2/3

補助上限

50万円

200万円

200万円

200万円

200万円

インボイス
特例

50万円

 ※インボイス特例の要件を満たしている場合は、上記補助上限額に50万円を上乗せ

第12回の申請受付締め切り6月1日(木)となっております。
詳しくは商工会議所地区小規模事業者補助金事務局HP等をご確認下さい。

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大和田会計ニュース 第157号

「相続時精算課税制度」と「暦年課税」の税制改正について

1.相続時精算課税制度は、これまで「①:特別控除額2,500万円までは何年間贈与をしても贈与税はかからないが、相続する際には、先に贈与した贈与財産を相続財産に含めて税の計算をする。」「②:一度この制度を使うと届出をした間柄の贈与では、暦年課税制度に戻れない上に、その後は少額の贈与でも、贈与税の申告の必要がある。」と使い勝手が悪いところがありました。
これが、今回の改正で2024年1月1日以降、相続時精算課税制度を選択した人への贈与でも、年110万円までなら贈与税も相続税も掛らず、贈与税の申告も不要となります。ただし、110万円を超えたら贈与税の申告と納税は必要です。

    改正前     改正後
1年目の贈与は2,500万円

2年目以降の贈与は

200万円×10年間

相続財産に加算する額は4,500万円

2,500万円+200万円×10年=4,500万円

相続財産に加算する額は3,400万円

2,500万円+(200-110=90)万円×10年=3,400万円

相続時精算課税制度の控除が2,500万円と110万円の2本立てになりました。
暦年贈与の基礎控除額と同じなので、紛らわしいですが、一度、相続時精算課税制度を選択したら暦年課税制度には戻れません。
ただし、110万円の基礎控除をつかえば申告不要で相続税も贈与税もかからないので、使い勝手は良くなりました。

2.暦年課税制度の生前贈与加算が死亡前3年から7年に延長されます。
これまでの暦年課税制度では、死亡日以前3年間に贈与した財産は、相続の際、相続財産に持ち戻します。金額の大小にかかわらず基礎控除の範囲内でも、贈与者の死亡日以前3年間であれば、相続税の対象になります。
これを24年1月1日以降の贈与から7年に延長します。亡くなる前の3年間に贈与された財産の扱いはこれまでと同じですが、それより前の4年間に贈与された分は、4年間の合計から100万円を差し引いた金額を相続財産に含めて計算することになりました。

1年前 2年前 3年前 4年前 5年前 6年前 7年前
贈与額 150万円 150万円 150万円 150万円 150万円 150万円 150万円
改正前 加算 加算 加算 加算無 加算無 加算無 加算無
   相続時点での贈与加算額:150万円×3=450万円
改正後 加算 加算 加算 加算 加算 加算 加算
相続時点での贈与加算額:150万円×7-100万円=950万円

(文責 税理士 大和田利明)

2023年すまいの省エネ補助金について

令和5年が始まり1か月が経ち、最近は光熱費の高騰を痛感される方も多いのではないでしょうか。個人向けの省エネ補助金についてまとめたので、該当する方は検討してみてはいかがでしょうか。

こどもエコすまい支援事業

子育て世帯(18歳未満の子が有)・若者夫婦世帯(いずれかが39歳以下)による住宅の新築の場合:ZEH住宅ならば100万円/戸の補助額

住宅のリフォームの場合:
リフォーム工事内容に応じて定める額で上限30万円/戸の補助額
①住宅の省エネ改修
②住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等(①の工事を行った場合に限る。)

*いずれも、こどもエコすまい登録事業者が申請をします。

給湯省エネ事業

新築・既存住宅の所有者が「給湯省エネ事業者」と契約し、購入した場合
家庭用燃料電池(エネファーム)は15万円/台の補助額
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)は5万円/台の補助額
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)は5万円/台の補助額
補助上限:戸建住宅はいずれか2台まで、共同住宅等はいずれか1台まで
*給湯省エネ事業者が委任を受けて手続きを代行します。

先進的窓リノベ事業

既存住宅の所有者が窓をリフォームする場合
高い断熱性能を持つ窓への改修に関する費用の1/2相当等を定額補助(上限200万円)
*リフォーム事業者が申請して住宅所有者に還元されます

福島省エネ家電購入応援キャンペーン(福島県民の個人が対象)

一定以上の省エネ性能を有するエアコン、電気冷蔵庫、エコキュート、LED照明器具を令和5年2月27日~令和5年7月20日の間に福島県内の対象店舗で購入した者に対しポイント等(PayPayポイントやアマゾンギフトカードなど)を交付。

詳しい要件の確認や申請方法等は、各ホームページでご確認ください。
住宅省エネ2023キャンペーン【公式】 (mlit.go.jp)
福島 省エネ家電購入応援キャンペーン 特設サイト (fukushima-shoene.jp)

これらの補助対象は、家庭(個人)向けではあるものの関連する事業者にとっては営業面での後押しになります。
いずれも事前に事業者の登録が必要です。登録の受付が1月17日よりスタートしていますので該当する事業者の方は申請を検討下さい。

(文責 所属税理士 髙橋由里)

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大和田会計ニュース 第156号

相続対策のキホン

高齢化社会の中で、お客様の相続についての事前相談が増えてきました。考え方のキホンをまとめてみましたので、ご参照ください。

1つ目は、「争族対策」です。
相続が起こってから、相続人間でもめ事がおきないようにあらかじめ、親の思いや考え方を相続人に伝えておく。できれば、全員がそろう機会が良いと思います。なぜなら、お互いが聞いたことの証人になるからです。お正月や家族行事に集まる家族は揉めないケースが多いと感じます。
また、相続が起こったら、話し合いは互いの配偶者を入れないで、相続人だけで行うと決めておきます。相続手続きは不慣れなことが多いので、事前に各々の事情に配慮して役割分担を決めておくこともお勧めです。
遺言書や養子縁組は、秘密にしておくともめます。実行するなら、必ず相続人全員に伝えておきます。
2つ目は、「納税資金対策」です。
相続税は現金納付が原則なので、払えるだけの資金を準備する必要があります。
まずは、想定される相続で、納付予定の相続税額をおおまかでも計算します。ネットにある概算額を計算するサイトも参考になります。
おおよその納税額が分かったら、納税資金の準備は、生命保険で行ないます。
メリットはあらかじめ受取人を指定できること。行き先が決まりますので、話し合いが必要ありません。非課税枠も法定相続人1人当たり500万円になります。
相続した不動産の売却で納税資金を作る方法もあります。ただし、故人の遺志を反映させるには、どれを売るかを遺言等で指定しておいたほうが良いでしょう。
3つ目に「節税対策」となります。
よく、孫の養子縁組を質問されますが、安易にはお勧めしていません。孫の誰を選ぶかで、将来軋轢を生むケースがあると承知しているからです。
暦年贈与は一般的な方法で、基礎控除額の110万円を使って年間310万円までの贈与は、税率が10%と低くなります。地道ですが、早めにスタートすると効果大です。不動産を使った節税対策はまさしく、ケースバイケースです。銀行等からの提案を受けた際は、事前にご相談ください。

最後が「遺された家族への配慮」です。
親が残したい財産のうち、特に負動産はリノベーションして、誰に渡すか遺言書で指定しておくべきです。借金は残さないことが前提です。なぜなら、借金をしたことのない相続人には、大きな借入金は負担に感じます。もし、残すならの納税資金は確保しておきます。また、このご時世なので、ひきこもりや障害者、高齢の配偶者など家庭内でその後の支援が欲しい方への配慮はお忘れなくお願いします。

(文責 税理士 大和田利明)

スマホアプリ納付

国税納付手続きに令和4年12月1日よりスマホアプリでの納付が利用可能となりました。

【利用可能なPay払いは6つ】

・税務署への事前の手続きが必要ありません。

・全ての税目で納付可能です。
※印紙を貼り付けて納付する場合等、ご利用ができない税目があります。

・一度の納付での利用上限金額は30万円です。
※利用するPay払いで設定された上限金額により、利用可能な金額が制限される場合があります。

・決済手数料は発生しません。

・領収書は発行されません。
※領収書が必要な方は、金融機関や税務署の窓口で納付してください。

納付手続きは、「国税スマートフォン決済専用サイト」へのアクセス方法により異なります。

・e-Taxの受信通知からアクセスする場合
e-Taxを利用して申告書・所得税徴収高計算書データの送信又は納付情報登録依頼をした後に、メッセージボックスに格納される受信通知(納付区分番号通知)からアクセスします。

・確定申告書等作成コーナーで出力される二次元コードからアクセスする場合
確定申告書等作成コーナーで申告書を書面で作成し、申告書等とともに出力される二次元コードを読み取りアクセスします。

・国税庁ホームページからアクセスする場合
国税庁ホームページに表示されている「国税スマートフォン決済専用サイト」へのリンクからアクセスします。

詳しくは国税庁ホームページ「スマホアプリ納付の手続き」でご確認下さい。

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※ 誠に勝手ながら12月30日(金)~1月3日(火)までを年末年始の休みとさせて頂きます。

大和田会計ニュース 第155号

インボイス制度の対応:その2(免税事業者の場合)

インボイス制度の導入が、令和5年10月に始まると「取引先に対し、適格請求書の発行」を求めます。自らが、免税事業者のままでは、適格請求書発行事業者になれません。
そうなると、課税事業者側では、「仕入れ税額控除」ができず、消費税の納付税額が増え、利益が減少します。

(例:課税売上が税込1,650万円で、免税事業者よりの課税仕入が税込880万円のケースでは)

インボイス制度導入前の課税事業者

インボイス制度導入後の課税事業者

税抜売上-税抜仕入=利益

1,500万円-800万円=700万円

税抜売上-税抜仕入=利益

1,500万円-880万円=620万円:80万円の減益

受取消費税-支払消費税=消費税納税額

150万円-80万円=70万円

受取消費税-支払消費税=消費税納税額

150万円-0万円=150万円:80万円の消費税納税増額

※インボイス制度では、明らかに免税事業者との取引により影響を受けることになります。ゆえに免税事業者側では、「取引自体が敬遠される。値引き交渉を受ける。」ことが想定されます。

1.免税事業者の対応は「売上の対象となるお客様が誰か」で変わります。

お客様は一般の消費者で「名入りの領収書」は発行しない お客様は一般の消費者だが、時に「名入りの領収書」を発行する

例:飲食店やタクシー

お客様は課税事業者で、請求書や領収書の発行をする
免税事業者を継続する 課税事業者になることを検討する 課税事業者になることを検討する

 

2.免税事業者(個人事業主)が課税事業者を選択した場合の影響

影響①:インボイス制度の経理処理の手間の増加 会計処理を外部委託しているなら支払経費の増額
影響②:消費税の納付税額が増える 課税売上税込880万円の大工事業者の場合

簡易課税制度(第3種)選択で消費税納付年額24万円

影響③:消費税の納税で、所得が減少すると所得税や住民税が減る 所得税率10%の場合、住民税と合わせて

4万8千円の減税効果:消費税差引き19万2千円の増

 

3.免税事業者が課税事業者を選択しない場合の影響
取引先が事業者の場合、複数の得意先との価格交渉が必要になります。極論すると消費税の納税額をどちらが負担するかになります。仕入税額控除の経過措置規定もありますが、複雑な交渉です。

(文責 税理士 大和田利明)

 

詐欺にご注意を!!

事例①
国税庁を装う詐欺メール、SMSが届いた
お客様から、こんな連絡をいただきました。
「国税庁の名前で税金の納付を求めることや、差し押さえの執行を予告するショートメールが
来て、リンク先もあるのですが。どうしましょう?」
冷静に考えれば、なぜ携帯の番号がわかるのかと疑問に思い、お客様にはリンク先にアクセス
しないようにお願いしました。
念のために国税庁のホームページをみると下記のような注意喚起がされていました。

 

例②
パソコン操作中に突然警告音が鳴りだして,電話をするように表示される
お客様から聞いた事例です。パソコン操作をしていたら、突然警告音が鳴りだして動揺して
しまい,表示された連絡先に電話をして、パソコンを遠隔操作され、コンビニでAmazonの
ギフトカードを買うように指示されました。コンビニ店員が詐欺だと気づき、払わず警察に
連絡をしたそうです。
もし、詐欺警告がでてしまったら
 ・キーボードで[Ctrl]+[Alt]+[Delete] 同時押し ⇒タスクマネージャーを選んでいただき
Microsoft Edge、Google Chrome、などをタスクの終了で終わらせ、ブラウザーを開き直して
「復元」メッセージが出たら「×」を押します。
(詳細はネット検索で出てきます または 専門家にご相談ください)

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大和田会計ニュース 第154号

インボイス制度の対応:その1(課税事業者の場合

インボイス制度の導入が、令和5年10月に迫ってきました。弊社では、課税事業者のお客様への対応として、現在「適格請求書発行事業者」の登録を順次進めております。
以下、課税事業者側でインボイス制度開始にあたり、やらねばならない事を一覧にしました。内容と時期を確認ください。

1. 会社側の内部で対応すべき事

やらねばならない事項

対応と留意点

対応期限(目安)

1.適格請求書発行事業者への登録 弊社のお客様へは、登録の可否の説明後、10月末まで登録完了 令和5年3月末までだが、速やかに登録する。
2.得意先への案内 交付された登録番号を案内する。 通知書を受けとったら速やかに番号の案内を送付する。
3.インボイス制度の書類の様式の確認と販売管理システムのバージョンアップ 納品書や請求書の記載事項を確認。得意先の要請も考慮(指定伝票の場合) システムのベンダーや印刷会社と導入開始前まで。試用期間も考慮する。
4.自計化の場合、経理や仕入管理システムの見直し 課税事業者・免税事業者の区分対応システムの導入。 システムのベンダーと導入開始前まで。試用期間も考慮

 

2.仕入先と対応すべき事

やらねばならない事項

対応と留意点

対応期限(目安)

1.仕入先が課税事業者かの確認とリストアップ 継続した取引先に自社の登録番号を通知の際に、アンケートを渡して確認する。 令和5年3月末まで。
2.スポットの取引先(士業、コンサル、大家)の確認 取引先の洗い出しと課税事業者かの確認をする。 令和5年3月末まで。
3.仕入先が免税事業者の場合、登録業者への勧奨 課税事業者の選択と登録を登録期限まで説得する。 登録済後に、登録番号の通知を受領。令和5年3月末迄
4.免税事業者がある場合の会社側の対応の検討 説得の継続か、消費税分の値引きか、代替先の開拓か検討 令和5年9月までには、個別の対応方針を決定しておく。

 

(文責 税理士 大和田利明)

 

2022年改正  育児・介護休業法

2022年4月1日から『育児・介護休業法』の改正がされていることをご存知でしょうか?
育児・介護休業法』とは、育児や介護をしながら働く労働者が職業生活と家庭生活を両立できるように支援するための法律です。『育児や介護を理由に退職せずに仕事を続けることができること』『育児や介護を理由に退職した労働者の再雇用を促進すること』を目的としています。
ここでは育児休業の改正ポイントと施行スケジュールについてご説明いたします。

施行タイミング

内    容

2022年4月1日~ ・育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

・有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件の緩和

2022年10月1日~ ・育児休業の分割取得

・出生時育児休業(産後パパ育休)の新設

2023年4月1日~ ・育児休業取得状況の公表の義務付け

 

1.2022年4月施行  育児休業を取得しやすい雇用環境の整備を義務化
 育児休業を取得しやすくするには、まず従業員の雇用環境を改善し整えることが肝心です。育児休業及び産後パパ育休に関する研修の実施や相談窓口を設けておきましょう。他にも育児休業の事例に関する情報も集めておくと相談された際に役に立つかもしれません。

2.2022年4月施行  育児休業の周知・取得意向の確認を義務化
 従業員本人もしくは配偶者の妊娠や出産を申し出た従業員に対し、育児休業制度の周知と休業に関する取得意向の確認を個別に行うことが義務となりました。

3.2022年4月施行  有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件を緩和
 これまでの育児・介護休業の取得は、無期雇用で継続して雇用された期間が1年以上かつ子が1歳6ヶ月になるまでの間に契約満了になっていないことが条件でした。施行後は、1年以上継続雇用のパートやアルバイトといった有期雇用の従業員も育児・介護休業の取得対象になりました。

4.2022年10月施行  産後パパ育休(出生時育児休業)を創設
 産後パパ育休とは、子どもが誕生した8週間以内に4週間まで取得できる育休です。取得する時期は自分で選べ、事前に取得申請するのが基本であり、遅くとも取得希望する2週間前に各企業担当者に連絡する流れとなっています。 改正前は、子の出生日から8週間以内であれば取得日数に制限を設けない「パパ休暇」として運用していましたが、改正後は「産後パパ育休」として運用されます。

5.2022年10月施行  育児休業の分割取得が可能
 改正前の育児休業は1回でまとめて取得するのが基本であり、分割取得が出来ませんでした。改正後は、子どもが1歳になるまでの間、育児休業を分割(2回)で取得できるようになります。仕事の繁忙期と閑散期、配偶者の育休復帰などを考えながら育児休業を取得できるようになります。

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